「侍」という言葉の原型が生まれたのは、奈良時代よりも前の時代です。「様子を伺う・見守る」という意味を持つ「もる」という言葉が「もらふ」と変化し、それに接頭語の「さ」が付くことで「さもらふ」という言葉になりました。
その言葉は平安時代になると、貴人に仕えるという意味を持つ「さぶらふ」、「さむらふ」という言葉となったのです。
「さぶらふ」ものたちである「侍」
朝廷に仕える官人にはもちろん中下級のものがいます。彼らはその技能をもって上流貴族に仕えました。その彼らを「さぶらふ」ものたち、つまり「侍」と呼ぶようになったのです。もちろんその中には武芸をもって上流貴族に仕えたものもいましたが、そうではないものもいました。「侍」はあくまで「仕えるもの」という意味で使われ始めた言葉なのです。